第6章 アサシンデビュー
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「すみません、匂いしますよね…」
馬車の中ではアオメが自分の服などの匂いを嗅いで、渋い顔をしていた。
僕は血の匂いは嫌いじゃないので特に苦ではない。
「タオルで拭いたらきっとマシになるよ!」
僕は水で濡らしたタオルで血だらけの腕を拭いてあげる。
「間違って大動脈傷つけちゃって…浴びちゃいました」
そう言ってアオメは自分の顔を拭いている。
「今回、僕たちは必要なかったね〜。
アオメだけで足りちゃったよ」
「私が担ってた仕事がみなさんより簡単だったからですよ。勘が当たっただけですしね?」
たった今300人以上殺してきたのにも関わらず、疲れた顔も後悔するような顔もアオメは見せない。 いつも通りだ。
僕らなんて3人合わせても20人殺したくらいだが気疲れしている。
僕はここで改めて理解した。
彼女は確かにアサシンでも殺し屋でも暗殺者でもない。
アオメは殺しの天才であり、死神なのだということを。