第5章 この女、冷酷 冷淡 冷徹 にして最狂
「上手く言えないですが…ずっと死と隣り合わせで生きてきたから人の死期はなんとなく分かります。
そして、私の死期は今ではないと感じています。
なので私は大人しく弾を受け入れたりはしませんよ?」
向けられた銃口を手で覆うようにしてクレナさんの顔を見つめる。
すると、すぐにその銃は下された。
「やっぱりアオメはいいね。
さっぱりしてて裏表も迷いもない。カッコいいよ」
フッと笑いを漏らしたクレナさんもとても自然体だった。
「僕さ、人を殺すのが好きなんだ。
小さい頃からその気持ちを押し殺して普通に生きようと思ってたけど、無理だった。
それで15の時にこの世界に入ったんだけど、自分にはしょうがなくやってるって言い聞かせてた。
間違っても殺しに快楽を覚えないように……。
でもアオメ見てたら素直に生きてみてもいいかな、って思ったよ。
ありがとう、アオメ」
そう言ったクレナさんは私の頬にキスをしてきた。
「なっ、ク、レナさん…⁉︎///」
「アオメのこと好きになっちゃった。
これからは僕のこと男としてみてよ?」
そう言って嵐のごとく私の部屋を出て行った。
ジョーク…っていう顔でもなかったな…
心臓も煩いし、気持ちは落ち着かないしなので私はずっと部屋をうろうろしていた。