第5章 この女、冷酷 冷淡 冷徹 にして最狂
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自分から切り出そうと思ってたのに、
こんな感じで知られるなんてっ……
私は慌てて顔を洗い、昨夜にステラさんがコーディネートしてくれた服を着てウィッグをつけてから部屋を出る。
「お待たせしてすみません!」
「ーアオメ、クレナにもバレてるぞ」
「へっ⁉︎」と私は言いながら、クレナさんを見るとまた抱きついてきた。
「女の子だって分かってたけど、訳ありだと思ったから黙ってたの」
ということはもう既にみんなにバレてるということだ。
「黙っててすみませんっ!」
私が謝ると、みんな笑って許してくれた。
屋敷に雇われてたったの2日で全員にバレてしまった。
「もうバレたのにカツラでお出かけするの?」
「女だと絡まれやすいからそのまま行ったほうが都合いい。じゃあ、行くぞ」
そう言って私たちは屋敷を出る。
雪は降っていないが、地面には数ミリ積もっていて歩くたびに音がなる。
「ここはまだいいが街に出たら、気を引き締めろよ、いいかクレナ?」
「なんで僕だけ⁉︎」
というやり取りに私は笑う。
隠し事もなくなったのでものすごく体が軽く感じる。
無事に受け入れてもらえてよかった。