第12章 復讐の始まり
「シルダさん、少し遠くの、トイレに連れていって、くれませんか?」
カスカスの声でそういうと、なにか事情があると察したシルダさんは頷いてくれる。
そしてついてきてくれたのはシルダさんとトーネルさんだった。
「どうやってさせる……?」
「とりあえずデカイ方する方に座らせてさせた方がいいよな」
そうだな、といったシルダさんは私を抱えたまま個室に入る。
「とりあえず脱がすぞ……」
そう言いながら私を座らせるとズボンのベルトに手をかけた。
私がぎゅっと目を瞑っていると足元が肌寒くなり、シルダさんの手が止まった。
「……後ろ向いてるから終わったら言え」
が、彼はすぐにグルンと後ろを向いて何事もなかったかのようにしてくれる。
気づかなかったわけではないだろう。
「終わり、ました…」と言えば、彼はトイレットペーパーを手にする。
「拭いた方がいいんだよな?」と言うと、私に抱きつく体勢で見ないで拭いてくれた。
「話せるようになったら事情を話してくれればいいから。立たせて履かせるぞ」
優しい声でそう言うと彼は私を立たせて履かせてくれる。そしてまた何事もなかったかのように私に接してくれた。
そのおかげが1週間ほどでほとんどの毒は抜け、少しずつ話せたり歩けるようになった。
「いつも強気のラリーが瀕死って聞いたからツラを拝みに来てやったんだそ」
「何いってんだよ、ラリーたちが戻ってこなくて夜通し俺の部屋でうろちょろしてたくせに!ずっと、ラリー死んでないよな、あいつ強いもんな⁉︎って言ってたんだぜ。それにお前がこっちきてから目覚ますまでの3日ぐらいご飯も喉を通らねえ、って泣きべそかいてやがるんだ。女々しいだろ?」
なんて部屋に来てくれる人たちが笑い話をしてくれるおかげで不自由な時も退屈せずに済んだのだ。
だがいつまでもそうやって笑ってはいられない。シルダさんとお話ししなければならないのだ。
「すみませんがみなさん、少しシルダさんと大事な話をしたいので2人にしてもらえますか?」
私がそう言うと、からかわれながらシルダさんが他の人たちを部屋の外に追いやった。