第12章 復讐の始まり
目を覚ますであろうタナトさんと2度と目を覚まさないエドワードさんを再び担いで裏に回る。
このアジトはもともと街中にあったせいで屋敷の周りにはたくさんの野次馬がいた。
もちろん毒や爆風のせいで死んだ人もたくさんいるのであろう。泣き声や叫び声が私の耳にまで届いた。
さっきの爆発のせいで馬車が無事なはずがなく、潰された物体から私たちの持ち物を回収した私は小さな宿屋に入る。
店の人は嫌そうな顔をしたが、一応持ってきていた金貨の入った袋を出すと目の色を変えて私を部屋へ案内した。
2人を抱えて歩ける距離でもないのは分かっていたので、シルダさんが持たせてくれた服に着替えてアジトに手紙を送る。
第一、あんな森奥に届くのかは知らないがどちらにせよ帰ってこない私たちを探しにこちらに来るだろう。
エドワードさんが死に、タナトさんも重症、馬車が壊れて帰れないから近くの宿にいると言うことを記して私は速達で出した。
エドワードさんをベッドに寝かせて、布団で顔まで覆ってソファにはタナトさんを寝かせると私にも睡魔がやってくる。
というか、体も痛いしあんなに毒を飲んだりしていてさすがに無被害なんてこともあり得るはずがなかった。
そして私は椅子に座ったまま意識を手放した。
体がゆさゆさ揺らされていることに気づき、私は目を覚ました。
ボヤァっとした視界にタナトさんが移り、だんだん意識がはっきりする。
起きて分かったことは2つ。
1つはタナトは毒に侵されずに無事に生きてたこと。
2つは毒のせいで体が痺れていること。
「おい、状況を説明しろ。爆破の後に何があった?」
ベッドを見ると、布団がはだけているのでエドワードさんが死んだのは確認したようだ。
私は痺れる体になんとか力を入れて、タナトさんの方に向き直る。
「爆破と同時に液体状の毒が散布して、お二人の傷口から毒が入ったと思われます。
…それで毒抜きを始めたのですが助けられるのは片方だけだと分かったのでまだキズも浅く、可能性の高いタナトさんを助けました。
タナトさんの処置が終わった後エドワードさんにも施しましたがやはり助けられませんでした。
力不足で申し訳ございません」
私がそう言うとタナトさんは黙ってエドワードさんの頬を撫でていた。