第12章 復讐の始まり
アオメside
残り5人になった時、1番奥にいたやつが何かボタンを押してから向かってきた。
倒しながらそっちの方に歩むと火薬と毒の匂いがプンプンする。
そう気づいた瞬間、外に出るように言いながら私も出る。
すぐにけたましい爆発音と共に穴だらけの屋敷から液体の毒が混じった爆風と人間が降ってきた。
木の上に登ってから飛んで空中で2人をキャッチした後にそのまま私は地面に叩きつけられる。
耐性があってもさすがにこの衝撃は体に痛みが走って思わず顔をしかめた。
エドワードさんもタナトさんも息がある…でも完璧毒を浴びてるな。
放っておいたらどっちも死ぬんだろうけど……1人ぐらい助けて仕方なかった感を出した方が。
2人の命の瀬戸際というところでこんなことを考える自分にほんの少しだけ嫌気がさす。一瞬だったが。
タナト、お前はこんな楽な死に方させるわけにはいかない。
肩あたりの大きな傷口から毒が入ったと見極めて、そこに口をつけて思いっきり吸う。
回る前に抜かなければ死んでしまうだろう。
何度も何度も吸っていたら血と共に苦い毒が口に入るのを感じる。
吸っては吐く、吸っては吐くを繰り返しているうちにだんだん毒の味がしなくなる。
うまくいけばタナトはきっと死なないだろう。
ふぅ、と息をついてから後ろのエドワードさんを見ると毒が回り始めたのか体の色が変色し始めている。
これならもう吸っても間に合わないだろうし、眠ったまま楽に死ねるだろう。
あっけないな、人が死ぬのは。この人もすごい強い人なんだろうけど…私なんかに看取られて死ぬのか。
なんて考えながら私はエドワードさんから毒を抜く。
そして、エドワードさんが不意に噎せこみ、大量の血を吐いた。今日はあまり血を浴びないようにしていたのに頭から思いっきり被ってしまった。
もうそろそろかな…人が死ぬまでの間をこんな風に見るのは初めてだ。
いつもみんな一撃で殺すし、仲間も知らないところで殺されていった。
「エドワードさん、ごめんなさい」
敵だと分かってても罪悪感が生まれてしまった。
いつもはこんなのを感じないで殺せると言うのに。
結局、私は彼の呼吸がゆっくりと止まるまでまで無駄に毒を抜き取り続けた。