第12章 復讐の始まり
「ははっ、人が花火みたいだね〜。ラリー、あと22人だよ」
どうやらあちらは終わったようで、上からこちらを見て手を振っていた。
終わってんなら手伝えよ、という言葉は飲み込んで私はまた斬りにかかった。
エドワードside
「残像見えるんだけど〜、ラリーすごいね」
壊れかけの柵にもたれかかって下を見ると、敵の中を縫うように黒いものが機敏に動く。
血がプシャアッとあちこちから舞い、この恐ろしい光景が綺麗に見えた。
もしかしたらタナトよりも強いのかな〜。
見てみたいな、2人が本気でやり合うところ。
「ラリーが仕事してるともうアートの域だよね。すごい新人くん入ってきたなぁ〜」
そう言うとタナトは「あぁ」とだけ言ってずっとラリーを見ていた。
そう話している間にまた何人もの人がラリーの周りに倒れていた。
あと5人、そう思った時急にラリーの動きが止まり、一点をジッと見ている。
その間に向かってきていた敵には目をくれずに5本のナイフで仕留めていた。
「ータナトさん、エドワードさん、上の窓から飛び降りてくださいっ!呼吸しないで!」
そう言いながら自分も出口に向かって走り出していた。
タナトが先に走り出して、僕はその後ろを追いかけて躊躇なく飛び降りた。いや、吹き飛ばされたの方が正しい。
もう降りる、と言う時に後ろから爆風が吹き体勢が整わないまま空中に体を放り出される。視界の端に入ったタナトも同じようだ。
せめて受け身だけでも…そう思った時に僕の体を何かが包み込んだ後に衝撃が来る。
どうやらラリーが空中で僕たちを捕まえた後に、地面に落ちたようだ。
両脇に僕たちを抱えていたせいで、ラリーは受け身1つ取ってないはずだ。
それに僕もなんだか体の感覚がない。
「ーっっ、間に合わなかった。…少し寝ててください」
その言葉を合図に僕はなんだか瞼が重くなって気が遠くなるのを感じた。