第12章 復讐の始まり
「ほい、これとこれ着て。帰りいつもみたいに血まみれはやばいから替えもな!馬車に置いときゃ大丈夫だろ?」
そう行って私にぽいぽいと服を投げてくるので、急いで着て鞄に替えをしまう。
「おしっ、完璧だなっ!…ついにお前も幹部かぁ」
「いやいや、ヘマしたら殺されるかもですし。またここに帰ってこれること願っててくださいね」
なんて言うと、「そんな願い必要ないだろ?お前は強いんだから〜」と返された。
幹部2人と任務などこの上ないチャンスでもあるが、かなり細い綱を渡らなければならない。
ボロが出ないように気をつけなければ…あの2人かなり鋭そうだ。
「それでは行ってきますね!シルダさんもお気をつけて!」
私はそう言って部屋を出ると、急いで玄関へ向かう。まだ人影がないので大丈夫そうだ。
そして私が来てから5分後に全員揃い、いつものように馬車に乗る。
さすがにいつものようにほのぼのとした空気はなく、私も戸を開けたりと気を使う。
動き出した馬車内でもタナトさんは外を眺めているし、エドワードさんはなぜかこちらをずっと見ている。
うわ、居心地悪い…というか気まずいな。
「あの、今日の任務作戦とかありますか?」
そんな空気に耐えられなくなった私は視線をエドワードさんに向ける。
「作戦?…んー、とにかく殺そう作戦かな。タナト、それでいい?」
「あぁ、せいぜい死なないようにしろよ。うちの連中ひ弱だから仲間が死ぬと士気が下がる。……特にお前は気に入られてるようだからな」
「確かに!トーネルとかトーンとかね〜。最近、シルダもデレデレだしぃ〜?」
昨日会ったことがバレてるのかと思ったが、触れてこないあたり大丈夫そうだ。
とにかく殺せ、か…。立ち回り大変そうだなぁ。
なんて考えながらなんとなくのシミュレーションはしておいた。
「そろそろ着くよね!あるのは全部で3階で人数は偏りあるけどまぁ、いけるよね。タナトが先陣切ってくれるから僕らはそれに続くよ。
そうだなぁ、1Fをラリーで2Fは僕、3Fはタナトね。
上から降りてくるやつもいるだろうからラリー頑張ってね!
あ、死体は基本持ち帰らない主義だから墓場は自分で決めてよ!」
なんてなかなか物騒、しかもアバウトな話を満面の笑みでしてきた。