第12章 復讐の始まり
その代わり、ドサッという音が聞こえたからかなり急いで走るとちょうど曲がり角を曲がると誰かが倒れていた。
!!あれは…ラリー!!!
「おい、おいラリー!!おいっ!」
上半身を抱き抱えて顔を確認すると苦しそうに青白い顔を歪ませていた。
呼吸もしてるようなので俺はすぐそばのシルダの部屋の扉をノック無しで開ける。
どうやら外の異変に気付きシルダも出てくる直前だったようだ。
「ーどうしっ…ラリーッ⁉︎⁉︎おい、ラリー!」
シルダも顔を青くしてラリーの頭に手をやっている。
「苦しそうな激しい呼吸が聞こえたから過呼吸で気絶したみたいだ。…シルダの部屋の前で倒れていたが何があったのか?」
ラリーをベッドに寝かせて、空いている部分に2人で腰をかける。
「…なんか言い合いみたいになった。俺がもっと頼れ的なこと言ったらラリーが人を殺してるからそんな資格ないって言ったんだ。
それでも、って言ったらアオメにでもそれ言えますか⁉︎って言って取り乱しながら部屋を出てったんだ」
無神経なことしちまったなー、とこれ以上ない程の深いため息をつくと髪を手でぐしゃっとさせていた。
俺が聞いた声はその時の会話だったようだ。
なんで頼れだ、なんて言ったのかを聞くとトーネルが告白したなどとにかく驚くような事実を知ってしまった。
「まぁ、2人とも少し意固地になりすぎたな。ラリーだってお前が嫌いで言ったわけじゃないだろう。
とりあえずこいつが起きたら一度話してみろ。お水とか用意すんの忘れんなよ」
背中をポンっと叩いた時にはいくらかシルダの顔色も良くなっていた。
「ありがとうトーン。お前がいて良かったわ」
そう言いながら冷蔵庫からビールを2本取り出すと、一本を俺に投げ渡してきた。
「おうっ!もう7年の付き合いだろ?2人でいれば子供のお守りも楽勝ってもんよっ!」
ラリーを見ながらシルダの肩を抱いてそう言うと彼は肩をすくめて笑っていた。