第12章 復讐の始まり
「シルダさん、俺大丈夫ですから。全然大丈夫ですから」
背中に回していた腕を下ろして、俺は心の中で嘆く。
もしこの人たちが本当の仲間だったら絶対にいいチームになれた。
「大丈夫って言ってるくせになんでお前は冷たくなってく…?辛いなら辛いって言ってみろよ!!」
私はそれでも無言を貫く。
負けるな、甘えるな、弱いところを見せてはいけない。
「たまには甘えろよっ!泣いて抱きついてこいよ!1人で背負うなよっ!」
「ひ、人を殺してるんです。俺以上に辛い思いをしてる人なんてたくさんいるっ!」
もう、やめてくれっ。甘やかさないでくれっ。
「それでもいいだろっ!お前を苦しんでるんだ!仲間がっ「ーそれアオメにでも言えますかっ!!!あなたの兄さんを殺したアオメにでもそんな綺麗事言えますか⁉︎⁉︎」
「…は?なんでアオメ…?なんであいつが…?」
シルダさんが戸惑った顔してこちらを見たときに私は失言したことに気づいた。
「あ、いや、なんでもないです…。………今日は別の部屋で寝ますね、すみません」
私は慌てて部屋を出ていき、壁に寄りかかる。
痛くはないけど、脳みそがかき混ぜられてるように頭がぐわんぐわんする。
それが徐々にひどくなり、吐き気と目眩が襲う。
なに、これ、呼吸がっ…はぁっ、はあっ…
抑えようとすればするほど呼吸は荒くなり、終いには視界がぼやける。
最後、天井が真上に来た景色を見て私は静かに意識を手放した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
トーンside
「~~~~~!!……~~~~、~~~~!!」
廊下を歩いていたらどこからか誰かの声が聞こえた。感情むき出しの叫び声みたいだった。
誰かケンカしてんのか…⁉︎⁉︎
そう思って長い廊下を少し小走り気味に走るが、その最中に声は聞こえなくなる。