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殺し屋が執事になってみました。【R18】

第12章 復讐の始まり


「ここに洗濯物置いておきますね。…寝てますか?」


未だ壁の方を向いて動かない彼の背中に声をかけたが、返事は返ってこないので寝ているようだ。


あなたのお兄さん、私が殺したんですね…。
ごめんなさい、覚えてないや。


今更ながらの感情だし、私が抱くことも許されてないのかもしれない。


「シルダさん。おやすみなさい」


彼の頭に手をつけたが”罪悪感”が邪魔して頭を撫でることができなかった。


私はもう戻れないとこまで来てるんだ。
彼らに甘えてはならない、さっき決意したのに…。

悪は最後まで悪らしくいかないと。やるしかないんだ…寝る時間まで情報収集しようかな。次はトーンさんに聞こう。


トーンさんの部屋にいます、と置き手紙を書いてから私は部屋を後にした。




シルダside



「殴ってください、絶対。気がすむまで、全力で」



ラリーがいきなりそう言ってきた。

恨む相手が同じで自分もしたいからそう言った、怒りでそう言った感じはなかった。


なんだ…矛盾するような感情が混ざっているかのような……。


心にモヤモヤを抱えていると、ラリーは洗濯物を取りに行くため部屋を出て行った。


1度上半身を起こしてよく考えてみる。

顔を見ていたわけでもないが、ここの長として人の感情を読み取る能力は高めてきたはずだ。


そう、あれは自己嫌悪と自信…。
でもなぜラリーがあのタイミングでこの感情を抱く?


そんなこと考えていたら外から足音が聞こえてきたので、また寝転がる。


「洗濯物ここに置いておきますね…寝てますか?

……シルダさん、おやすみなさい」


ベッドがぎしっと軋み頭に優しく手が触れた…がすぐに離れたと思ったら少ししてラリーは部屋を出ていった。



どうしたんだ…何を今躊躇ったんだ…?


おやすみ、と言った彼の声はなんだか悲しそうで耳に残る。


ベッドに手足を投げ出して、俺は1つ大きなため息を吐き出した。


なんだか最近、ラリーが気になってしょうがない。
最近までは新人だからと思っていたがそうではなさそうだ。

憧れか、他のものか…。


「気持ち悪りぃな〜。勘弁してくれよ」





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