第12章 復讐の始まり
「……で、どう適当にやれと?」
「…うむ、隙が全くないな」
2人して標的に近いところにいながら殺すタイミングが見つかっていない。
もういっそ誰かこいつを狙撃してくれよ、なんて思いながらスピーチする彼を見る。
別に後ろから撃てば良いと思うだろうが、依頼主が必ず眉間を狙えというのだ。
眉間を狙うのには腕を高く上げる必要もあるし標準も合わせなければならない。
「やるとするなら彼が礼をした瞬間ですよね、その一瞬で撃ち抜きます」
「は⁉︎そんなの無理だろ?失敗したらどうなるか分かってるだろ?」
その言葉に私は答えず、彼の動きに集中する。
「こりゃ、自殺用の銃の準備をした方が良いな」
なんて声が聞こえた時、彼のスピーチは終わり壇上から一歩下がる。
ーー今だっ!
物を落としたかのようにしゃがんだ私は一瞬で標準を合わせ、撃つ。
パンッと乾いた音が響いたのとほぼ同時、礼をしていた彼は起き上がることなくそのまま壇上から転げ落ちる。
スーツに隠しながら撃ったので私が撃ったことはバレてないようだ。
2人で標的に近づき、遺体を丁寧に扱いながら用意されていた部屋へ運ぶ。
眉間に命中、死亡を確認した私たちは頷きあい部屋に彼だけを残してこっそり出た。
トーンside
無理だと思っていた、せいぜい3秒でしかも近いと言っても4mは離れてる相手の眉間を撃ち抜くなど。
標的に合わせてラリーがしゃがんだその瞬間、銃声が響く。
まるで時間が止まったかのようにとても長かった。
斜め下を見ると、鋭い眼光で標的を見つめながら怪しく口元は弧を描いていた。
マジか…と思った瞬間、標的は力なく壇上から転げ落ちる。
この1秒ほどの時間に1時間ほどの時が詰められたような気がした。
しかし感心してる場合じゃないのでSPの仕事を全うするべくすぐに近寄ると、俺は更に度肝を抜かれた。
ちゃんと眉間に、それもど真ん中を撃ち抜いてやがる…。
バレないうちに外に出て待ち合わせしていた奴らと合流し馬車に乗る。