第12章 復讐の始まり
それからも話していたが私はやるべきことを思い出し、眠たくなったふりをして目を瞑って俯く。
「な、そう思うよなラリー?…おい、ラリー?」
シルダさんがどうやら私の様子に気づいたようだ。
「ありゃ、こいつ居眠りしてる。ま、頑張ってたもんなぁ。出かける時間までゆっくり寝かせてやるか」
完璧に寝たふりをした私は、タイミングを見計らってもたれかかっていた壁から背をずらしコテン、と床に倒れる。
「ったく、仕事中とは全くちがう顔だな。年相応の顔して…「かわいいと思っちゃったり〜
?」
シルダさんがトーンさんにチャチャを入れられながら、私をおんぶして部屋を出る。
まだほんのり漂う石鹸の匂いが漂うシルダさんの部屋のベッドに寝かせられた。
「後で迎えに来るからな…おやすみ」
優しい声を出しながら、頭を撫でると部屋を出ていった。
少し経ってから上半身を起こして、撫でられた頭を触った。
敵のくせに優しいよなぁ…揺らぎたくないからやめてよね。
なんて思いながら、引き出しの中にあった紙とペンで手紙を書いて服の中に入れた。
本当に疲れた私はもう一度布団に潜り込んだ。
目をつぶれば、思い出すのはルータスのみんなのこと。ステラさんのこと。
毒を吐くけど優しくて強かった彼はもういない。だから彼の仇は私がとらなければならない。
ーシルダsideー
そろそろ外出する時間なので部屋に行き、ラリーを起こしに行く。
っておいおい、また無防備な…
思わず笑みがこぼれるほど寝相がかわいい。
枕を抱いて、犬のように体を丸めていた。
時々、本当にこいつは人を殺したことがあるのか。本当に男なのか、と疑ってしまう。
「おい、ラリー!起きろっ、ラリー!」
身体を揺さぶると、ゆっくりとこちらを向いたと思ったら彼の目の下から赤い2本の筋ができていた。
「おい、ラリー!ラリー!目から血でてんぞ!」
急いで起こすと、彼は目の下に手をやり血の見つめる。
「…あぁ、涙です。懐かしい夢を見ていて…昔、負った怪我で涙腺傷つけて血のまま出てきちゃうんです…」
ベットに血がついていないか確認した彼はフワァァ、と伸びをしていた。
「いつも行ってる酒場に行くぞ。料理も美味しいから楽しみにしておけっ」
そう言えば瞳を輝かせて、頷いた。