第12章 復讐の始まり
今だ目を見開いているステラさんの目は暗く濁り、口元は悔しそうに歪んでいた。
泣くな、泣いたらダメだ。全てがダメになるから……
それでも崩れそうになった涙腺は止まらなそうだったので私は懐から担当を取り出し、それを思いっきり振りかざした。
「うっ、ぐっ、ぅぅぅっ………」
相手は困惑しているようだ。なぜなら、私が自分の太ももを刺したからだ。
「おいおい、ついに狂ったか?」
「い、いえ。これは決意です…。必ずあいつを殺すこと。そして弱い自分と別れることを」
危なかった。感情はこれで抑えられた。もう大丈夫だ。
「情報ありがとうございます。後ほど外出するので何かお土産買ってきます。それではっ」
ペコッとお礼をして、私は部屋を出る。
早足でシルダさんの部屋に行き、脱衣所に向かった。
鏡に映る自分の顔はひどく真っ青で、何かに絶望したような顔だ。
ステラさんは…やっぱり……もう少し粘って出ていかなければ…。
「私が、絶対にあいつを討つ…」
そんな後悔と共に出てきた涙は全てシャワーに流してしまった。
お風呂から上がり、全て身支度を整える。
ちゃんとウィッグも濡らしたし、不自然なところはどこにもないな。
太ももに包帯を巻いて、シルダさんが用意してくれていた服に着替えてシグさんの部屋に向かった。
「お風呂ありがとうございます。お待たせしました」
「よっー!今日はお疲れ様っ!」
彼の部屋で待っていたのは今日任務を遂行したみんなだった。
「お疲れ様でしたっ!外出楽しみですね〜っ」
先ほどあった出来事を悟らせないように笑顔を作りながら、輪に入る。
「今回のMVPはお前だなっ!楽しむぞっ!」
「もちろんですっ!たくさん飲みますよ〜」
私がそう言うと全員で止められてしまった。
「お前はこれ以上、道を踏み外すなっ」
「俺の理性がもたないからダメだ」
「セカンドキスは女にあげたい」
なんてツッコミどころ満載の理由だ。