第12章 復讐の始まり
その後、無事にキングダムのアジトへと帰ってこれた私たちには任務報告が待っていた。
「先ほどトーン達からは別に報告を受けてるから、運び中の報告だけでいい」
とタナトが言うと、シルダさんが緊張した面持ちで話し始めた。
「我々を乗せた馬車は最初は順調に走っていましたが、道中で問題が起きて約束の時間に遅れました。が、ラリーの気転のおかげで相手方も納得してくれましたし、大量の報酬金もいただけました」
その報告とともに、私は2つの袋をタナトさんに渡すと中をすぐに確認し目を見開いていた。
「ラリー、気転とはなんだ?なぜこんなに報酬が?」
いきなり名前を呼ばれたので少し焦ったが、私は全てを報告した。
「ほう…。あいつら宝石で喜ぶのか。これからは宝石も出せばなんとでもなりそうだな」
なんて言うと、そのまま私たちには下がるように命令した。
「いやぁ、ラリーのおかげで助かったよ!しかも俺らが寝てたこと言わないでくれたし…」
「ほんとなっ!おまえ幹部狙ってるから言うかと思って謝る準備できてたわっ」
シグさんとシルダさんは私の肩を抱き、ひたすらお礼を言ってる。
「さすがに仲間売りませんよ。シルダさんは特に俺の恩人ですから、恩を返したまでです!」
へへっと笑うとさらに強くシルダさんには抱きつかれた。
「こんな可愛い後輩にゃ、酒奢らないとな!今日の夜でも飲みに行くか!外出届出してきまーす」
そう言うとシルダさんは私にシグさんの部屋に行くように言ったので彼をそこで待つことにした。
シグ ラリコッタ。
確か自己紹介で20だと言っていたはずだ。
持っていた銃は扱いづらい癖のあるものだったので結構なやり手に見える。
「あ、シグさん!包帯とかってありますか?」
部屋に来るなりそう言うと、すぐにシグさんは茶色い箱から包帯などを出してくれた。
「怪我したのか?」と聞かれたので私は「怪我ってほどのもんじゃないんですけど…」
と言いながら眼帯と布を取ると、未だに血は止まってないしなかなかグロい状況ではあった。
その証拠にシグさんは口をパクパクさせ、私の左目を指差していた。
「い、痛くないのか?取引相手にやられたの?」
なんて言いながら、すぐに私の顔の周りについた血を拭いてくれる。