第12章 復讐の始まり
家を出ようとするその3人がそんなやりとりをしている間、私は黙って佇む。
もし何かをあげるとするならば、持っている物で価値があるのは銃、懐中時計、目についた宝石だろう。
「ねぇ、なにくれる?ご覧の通り時間がないのだけれど?」
しつこく赤髪が聞く中、他の2人は行こうとしているがこのままだと埒が開かなそうだ。
私は小さく聞こえぬようにため息を漏らすと、眼帯をとった。
「こちらの宝石でいいですか?かなり価値がありますよ」
私はそのまま赤髪に顔をぐいっと近づけるとそいつは舌なめずりをした。
「いいね、綺麗だ。じゃ、いただきま〜す」
私の左目の方にスッと手は伸びてきた。
「うっわ、いざやると結構グロいかも…」
なんて言いながらも意外とスッと簡単に私の目から宝石を取っていた。
赤髪の手に握られた小さな宝石は、サイズに合わず派手に光っていた。
「やっぱ綺麗…。ありがとう、満足だ。少し釣りが出たからこっちはお礼ね」
そう言うと私に白い布とずっしりと重い袋を2袋渡してくれた。
確か今回の礼でもらわなければならないのは袋1つだけだったので、片方は私のものになりそうだ。
私は白い布で血が出てきてる左目を抑えたあとさらに上から眼帯をつけてから家を出た。
相手が短気だから多少のやり合いは覚悟していたが、早めに目の宝石を出したのが良かったのかもしれない。
なんて考えながら馬車の方へと走って行くと、残念ながら馬が悪化したらしく先ほどからさほど離れていない場所をまだ走っていた。
車の中を覗くと2人はまだ寝ていたことに、私は苦笑しつつも行き先を広場にへと変更することを伝えておいた。
「この2人だけでの任務だったらやばかったんじゃ…」
なんて言いながら私は、片方の袋を開くと中には山ほどの金貨がつまっていた。
とりあえずどちらも上に渡せば私の評価もまる上がりなのでいいだろう。
私はまたしても馬車の窓からなにも変わらぬ景色を見てはルータスのみんなのことを思い浮かべていた。