第12章 復讐の始まり
「おかえり…ってお前の鉄臭っ!!!」
シルダさんとシグさんは鼻を押さえながら、ケラケラと私を見て爆笑している。
「ま、そうなるだろーと思って着替え持って来たからとりあえず着替えとけ」
と、用意周到なシルダさんは私に服を渡してくれた。
「すみません、シルダさんの服汚してしまって…」
「キングダムじゃ服は大体使い捨てだから気にすんな!」
「手強い奴相手だと服に染み付いた血の匂いでバレるっすよね」
そう言って豪快に2人は笑う中、私はあっという間に早着替えをしておいた。
女とバラすのにはまだ早すぎる。
それから私達はいろいろな話をして、隣国に着くまで時間を潰す。
だがこの時間を無意味に過ごしてはいけない。
「最近で大変だった任務はなんですか?」
「最近か?んー、大変というか緊張感があったのはタナトさんの護衛かな。死人もまぁまぁ出たしな」
なんとか聞き出さなければならないことがある
「へー、そんな任務も!誰かに襲われたんですか?」
「なんだっかな…。シグ、お前ホール担当だったろ?」
話を振られたシグさんは少し考え込んでから話し始めた。
「よく知らんけど最近、キングダムの情報集めてる奴らが出て来たらしいから囮のアジトにタナトさんが行ったんっすよ
そしたら案の定引っかかって、しかもたったの4人で来たから楽勝かと思ったんすけど、なかなか手強かったっすね」
やはりこの任務はステラさん達の話のようだ。
「んまぁ、結局のところ敵は2人は重症。後の2人は軽症っす。」
へー、と言った後にその言葉のおかしさに気づく。なぜ、死者が出ていない⁉︎
「ん?違うぞ。1人は死んだだろ。1人でホールに飛び込んだ奴」
ステラさんが生きてるのかも、と考えていたがシルダさんの言葉で打ち消される。
「え⁉︎でもあいつ最後タナトさんに連れてかれてましたよね?」
そんな感じで、2人で口論し始めた。
話によると、メルロさん達が逃げた後に一度ステラさんは目を覚ましたらしい。
タナトが彼を引きずるように別室に連れて行き、1発の銃声が聞こえたと思ったらタナトはは返り血を浴びながら涼しい顔で戻って来たという。
「タナトさんはそいつから情報だけ聞き出して、殺したんだ。そいつらが有名らしくて上の方で動いてるらしいが、まぁ、俺らにゃ関係ないな」