第12章 復讐の始まり
シルダさんは私に屋敷を案内しつつ、朝食会場へ連れてってくれた。
1Fは大きなホールや、武器庫、訓練場。
2Fは幹部の部屋、キッチン、下っ端の部屋。
3Fは下っ端の部屋とホールがあるようだ。
4Fもあるが、行けるのは幹部の奴らだけらしい。
見た目は秘密基地だが、とにかく内装はホテルっぽい。
3Fのホールの扉を開けると、すでに多くの人が集まっていて私たちを見るとこちらに寄ってきた。
「よぉ、ラリーちゃん。俺のファーストキスを奪ってどうしてくれんだ?」
「おはようございます。あいにく俺は男なんで…」
なんて感じでみんなとふざけていた。
昨日来たばかりだが、なかなか溶け込めているようなので案外作戦はうまくいくかもしれない。
なんて思っていたら、急にシルダさんが大きな声で座るように言った。
私も慌てて彼の隣に座った約5秒後、ホールの扉は開いた。
そして入って来たのは幹部の3人、そしてスーダン アルトリアだった。
「おや、会長のお出ましか。今日は忙しくなりそうだぞ」
シルダさんは私の耳元でそう言うと、すぐに席を立ち上がり挨拶していた。
久しぶりに見るスーダンの姿、拳を握り憎しみの目で見てしまう。
私の母と弟を殺した挙句、あいつはのこのこと生きてやがる。そんなのって絶対に絶対に__。
「許せない…すぐに、殺してやる」
思わず声に出してしまったがシルダさんに首を傾げられただけだった。
幹部たちが前方にある椅子に座ると、すぐにテーブルに並べられていた朝ごはんを開始した。
怒りのせいか、味はしないし心臓あたりが熱くて熱くて仕方がなかった。
最悪の朝ごはんを終えると、幹部が話し始めた。
「本日の業務は殺しの依頼だ。今からいうものは前に来い。シルダ、トーン、スグリ、シグ…ラリー」
最後の最後で名前を呼ばれて返事をすると、シルダさんに背中を押されて、私は前に歩き出した。
間近で見る父の姿に私は目が離せなくなり、ずっと見ていたら彼と目があった。
「…そいつは誰だ?」
忘れもしない少し高めの声、この世で一番聞きたくない声だ。
「昨日入会したラリー ストラグスです。スペルタールを卒業しており、戦力になると思います」
「ほぅ、スペルタールか…」
そう言って私を品定めするかのように見てきた。