第12章 復讐の始まり
「おっ、起きたか?シルダだ。これ飲め」
私が目を開けると、シルダさんの顔がすぐにあった。
「あ、すみませ…うわっ!す、すみません!」
シルダさんは何か薬をくれたので起き上がると、今まで私が頭を乗せていたところが彼の膝だったのでさらに謝る。
「気にすんなっ!お前の部屋まだ用意出来てないからとりあえずここで寝かせたんだが、俺が起きた時には既にお前がここに頭乗せてたんだ。気持ちよさそうに寝てたから起こさなかったぞ」
ニコッと爽やかな笑顔のシルダさんはベッドから降りると目の前で着替え始めた。
目のやり場に困るが我慢するしかないな…
私は洗面台を借りて先ほどもらった二日酔いに効く薬を飲もうと、水を口に含んだ。
「ーにしてもお前に酒を飲ますとキス魔になるとはな…。ファーストキス奪われちまった」
飲み込もうとした瞬間、そんなことを言われて思わず私は吹き出す。
「ず、ずみまぜんっ!ゲホッ…」
鼻に水が入って変な声を出すと、シルダさんはまた豪快に笑っていた。
「お前がキスしたのは………………………と、あとは………………だな!」
ずらずらと名前を挙げられたが、要するに全員だ。
「お前に惚れた奴が何人がいるぞ?しかもお持ち帰りしようとした奴がいるから助けてやったぜ!」
本当に酒の力は怖い、怖すぎる。
というか早々に女だってバレるところだった…。
バラすタイミングはちゃんと計らなくては信用を失ってしまう。
洗顔を済ませ、眠気も覚めたところで私は聞く。
「…今日は何かあるんですか?」
「昨日いたホールで朝ごはん食べながら説明されるからそれ聞いとけ。もしかしたら初任務来るかもだ。ほら、行くぞー!」
彼に背中を押されながら私は部屋を出た。