第12章 復讐の始まり
「もう少ししたら各テーブル回って挨拶しとけ。酒瓶もってくの忘れんなよ」
シルダさんが私に酒瓶を投げ渡してくれたのでそれを受け取って、私は早速テーブルを回った。
「マイクさん、スーザンさん、ヘルムさん、ナルニアさん、ロランさんですよね。よろしくお願いします」
先ほど覚えた名と顔を一致させて挨拶をする。
「へぇ〜、お前覚えがいいなぁ!」
お礼を言いつつ、私はお酒を汲む。
歳上というのは歳下に頼られると嬉しいらしいので、とりあえず頼ってみる。
「まだここのこと分からないんでいつか案内してくれますか?俺、方向音痴なんで」
えへへ、と照れ笑いをするとマイクさんが私に肩を回し気前よく「いいぞ」と言ってくれた。
「健気で可愛い部下を持って幸せだなぁ。トーンがやられた時やばいのが来たと思ったけど…」
なんて話しをしつつ、私はそれぞれのテーブルを回って行った。
とにかく色々褒めまくった結果、私に敵対心を抱くものは今の所いないようだ。
「お疲れ様ぁ、さ!お前も飲め飲め!」
席に戻るとシルダさんが私にお酒を汲んでくれた。ここで断れば場を悪くするだろう。
明日の私、君は何人とキスしてるのやら…
なんて思いながら私は一気に飲み干す。
「おっ、いい飲みっぷりだね〜!さ、どんどん行くぞ!」
この後、私がみんなにした行動は言うまでもない。私のあだ名は「キス魔」になった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
んんっ、誰だ…ほっぺを触ってるの…
何者かが私の頬を指でツンツンしているのに気づき、私は眠りから覚めた。
「だれ、ですか…?」
私は目を開けないでそう言うと、頬を触るのをやめた。