第12章 復讐の始まり
ステラさんを殺した日もこいつはこのベッドで寝たのか…。
そう思うとはらだたしくなり、血だらけのベッドの上に追い打ちをかけるように胃の中にあった毒を全部吐き出しておいた。
どうせ寝る前に片付けるだろうが、いくらかは蒸発して体調を崩すぐらいの効果はあるだろう。
止血し終わり、動けるようになった私は1度彼の部屋を出た。
とにかくキングダム商会には入れたのだから、ここからはとにかく媚び売りまくってさっさと会長に会った後、タナトと父を殺せばいい。
んで知らないふりしてまたルータスに戻ればいいのだ。
そう思いながら歩いていると、後ろから変な声が聞こえた。
「ひょぇぇぇ…お前なんでそんな傷だらけなの⁉︎幹部に喧嘩売ったの?」
そう言ってきたのはキングダム商会まで案内してくれた男だった。
「いえ、痛みに耐性があるかどうかを調べるために少々…。でも無事に入会できました」
「おぉ、そうかっ!なら自己紹介だな!俺の名はシルダ グルーヴ!幹部より下っ端の連中のまとめ役だ。お前も下っ端だから分からないことがあれば俺に聞いてくれ!」
「シルダさんですね!俺は…「あぁ、いいいい!ラリーだろ?よろしくなっ」
人の良いシルダさんは長い黒髪を高めで縛っていて女の人に見えるが、体を見る限りゴリゴリの男だ。
「さて、とりあえず下っ端の連中に紹介しなきゃ。トーンとの闘い最高だったぞ!」
トーンというのはどうやらあのスキンヘッドの男のことだろう。
私は礼を言いながら彼と冗談を交わす。
キングダム商会はもっと極悪非道で話の通じない奴らばっかかと思えば、シルダさんのような人もいるのだと思った。
「きっと今日の夜は宴だぞっ!お前の歓迎会だぁ!酒だ、酒っ!」
いやっほーい!と跳ねながら喜んでるあたり普段はお酒を飲めないのだろう、