第12章 復讐の始まり
毒は飲まされすぎてお腹はタプタプ言いそうだし、左側の腕なんてしばらく使い物にならなそうだ。
あともともと片目が見えないのに、もう片方の目の上も腫れていて視界が良くない。
「そうだな、お前をキングダム商会の会員にする。俺の名はメナード ヘドリグスだ」
「俺はエドワード マシュー!よろしくぅっ」
真ん中の男と左側の男がそれぞれ名乗る。
そして私が右側にいた男に視線を向けると、ここに来て彼は初めて口を開いた。
「俺の名はタナト テルッタだ。…怪我の手当てをするから来い」
その名を聞いた時、全身から冷や汗が湧いた。
こいつがステラさんの仇…こいつが殺した。
そう思うと今すぐにでも殺したくなったが必死に抑えておいた。
部屋を出て、階段を登り小さな部屋へ連れて来られた。
服などがあったりするところ、どうやらこいつの自室なようだ。
ベッドの上に座るよう指示されて座って待ってる間、タナトは引き出しから箱を取り出して来た。
「お前、これ本当に痛くないのか?折れてんのに顔色ひとつ変えないで笑ってただろ」
「はい。大丈夫です…____っ、どうされました?」
私が答えた瞬間、手に持っていたハサミを腕にぶっ刺してきた。
赤黒い血が噴水のように溢れて、私たちを、周りを染め上げる。
「膝の裏も刺していいか?ってかさ刺すぞ」
そう言って私の右足を上げたと思ったら、懐にしまってた短刀を刺してきた。
膝の裏は人間の痛覚が最も詰まっている場所なのでさすがに少しだけ痛みはあった。
「あの…痛みの方はいいんですけどこのままだと出血死しそうです。というか…既に____。」
そこまで言った途端、私はベッドに倒れた。
「あ、そっちか…悪りぃ。ま、後でもう一回見に来るからその時生きてたらいいな」
フッと鼻で私を笑うとタナトは部屋を出て行った。
…くそ、演技がバレちゃったかな。
出て行った扉を睨みつけながら、私は起き上がり床に転がった道具で手当てする。
実際、少し貧血気味だが死ぬ程でもない。
確かにタナト テルッタは血も涙もない奴だし、何より群れに紛れる一匹狼って感じだ。
手当てが終わると、私は部屋を見渡す。
私を連れてきたということは大して重要な書類とかがないんだろう。