第12章 復讐の始まり
「あげてもいいけど交換条件だ!この森を出たいから道案内をしろ!」
「…町に行きたいのか?それとも…」
私が言った途端、彼は凄んだ。
もしかして何かを知ってるのだろうか。
「キングダム商会へ行きたいんだ。場所、分かるか?」
私がそう言うと、彼は右を向いて自分の耳を指差した。
「俺はキングダム商会の会員だ。お前のことは連れてくが殺されてもしらないからな」
と言って彼は私からイノシシを奪うと歩き始めた。
少し歩いた所にあった茂みの中に彼は躊躇なく入っていく。
「道知ってなきゃ、偶然が重ならない限り来れないんだ。もうすぐ着くぞ」
すこしドヤ顔気味の彼はまた黙々と歩き、森を抜ける。
抜けたと言うよりは一部だけ木などが伐採されており、床には石畳が詰められていた。
見るからにTHE 秘密基地、と言う感じだ。
子供が作るのと違うのは遥かに大きい。
「ここだ、俺の連れだと思われたくないからお前は先に行け。ま、くれぐれも下手なこと言わないことだな」
背中をポンッと押され、私は玄関へと歩く。
ーコンコンコン
扉を叩いて少し待つと、中からスキンヘッドのいかつい男が出てきた。
「用件はなんだ、若造。道に迷ったか?」
私はその問いに首を振って発言をする。
「俺をキングダム商会の会員にしてください」
「…断る。弱い奴は必要ないんだ」
そう言って閉められそうになった扉に足を挟む。
「見た目で判断しないでください。…俺こう見えても強いですからっ!」
そう言うとスキンヘッドは腹を抱えて大笑いし始めた。
「強い⁉︎お前がか⁉︎wそんなひょろい体してるくせに…」
「こう見えてもスペルタール卒業なのですが」
その言葉でスキンヘッドは笑うのをやめた。
やはりスペルタール、というのは有名らしい。
「第34期スペルタール卒業、ラリー ストラグスだ。キングダム商会の仲間にしてほしい」
先ほどより強めに言うと、彼は「待ってろ」と言って屋敷に戻る。
待ってる間に先ほどの男はこちらにやってき
た。
「幸運を祈るよ、ラリー少年?」
そう言って長めの黒髪を翻しながら屋敷へ入って行った。
その後、スキンヘッドはまたやって来て私を屋敷の中へと入れてくれた。