第9章 新しい仲間
それから数日が経ち、ミカも徐々にここでの暮らしに慣れていった。
「マスター、お食事の準備が整いました。お連れ致します」
いつものようにマスターを迎えに行くと、彼は何かを難しい顔してみていた。
「なにかお悩みでも……?」
「次の依頼がちょっと怪しくてな」
それ以上は口を開くつもりはなさそうだったので、「そうですか」とだけ言ってエスコートした。
最近動いてないから、依頼欲しいな…
なんて思いつつも、仕事にキリがついたので私たちも昼食を頂く。
仕事がない、と言っても『殺し』がないだけで誘拐だの、窃盗だのと他の人は動いてて私たちに出番がないだけだ。
「お姉ちゃ~んっ!仕事終わったら離れに行こうよ」
「今日はマスター出かけないから仕事が終わるのは早くても23時よ」
どうやらミカもうずうずしているようで、銃を器用に手で回していた。
「休憩時間に行かれては?30分もあれば動けるでしょう」
メルロさんがそう言うとミカはすぐに昼食を体内へと流し込む。
「お姉ちゃん、行くよっ!」
「え、ちょ、たんまぁぁぁっ!」
他人事と思いながら昼ごはんを食べていたのに、ミカは私を抱っこした。
「他の人もきてくださいよっ!クレナさーん!」
そう叫ぶ私は無理やり離れへと連れてかれた。
ーーーーーーーーー
「ただいま戻りましたぁ~」
無事30分以内にミカとの戦いを終えた私はまた仕事に戻る。
「あれ、ミカゲはどこに?」
「うっかり気絶させちゃいました。ので、お部屋でスヤスヤと」
その分倍働くんでっ!と言いながら私は食器を拭く。
「アオメってミカゲと戦うと大体気絶させちゃうよね」
「ミカが手加減しないで殺す勢いでくるのが悪いんですよ。多分、フリーランサーの時の癖ですかね?」
「へー。じゃあミカも裏のことよく知ってるんだぁ。あ、じゃあステラ!聞いてみれば?」
名前を呼ばれたステラさんは皿を拭く手を止めずに「そうする」と言っていた。
ミカは知っているのだろうか。
ステラさんが復讐したい相手を。