第9章 新しい仲間
「曲は何にするの…?」
「ハイドンのレクイエムがいいな。ミカとの思い出がつまってるもの」
私達はバイオリンを構える。
「下手な演奏でガッカリさせないでよね?」
「お姉ちゃんこそ腕落ちてないといいね?」
その言葉を合図に私たちの演奏は始まる。
「♪~♪~♪~♪♪♪~♪~♪~♪~」
まるでもう1人自分がいるかのように息ぴったりの演奏に私は驚く。
下手どころか上手くなってるじゃない…
思わず私は微笑みながら、ミカの方を見たら彼もこちらを見ていた。
久しぶりにこんな胸が踊り、高鳴る。
楽しい、楽しい、楽しいっ!
思わずテンポが上がりそうになるのを必死に抑えていると、ミカの音が跳ね始めた。
「好き勝手こそ僕ら、でしょ??」
そういったが合図にミカの音は軽やかになっていく。
もうレクイエムでもなんでもなくなってて、ほぼ即興に近い。
そこからは私もやりたい放題に弾き、あからさまに陽気な曲へと変えた。
「♪~♪♪♪~♪♪~♪~♪~………」
弾き終わった途端、私達はその場に座り込む。かなりの体力を使ってしまった。
「まさか全部引くとは思ってなかった…」
「どうせやるなら全部でしょ?」
「そうね」と相槌を打ちながらそのまま寝転がり天井のシャンデリアを眺める。
「お姉ちゃんといられるならここにいるのも悪くないかも」
「仕事は手っ取り早く終わりそうだしね?」
「ー見事な演奏でしたね」
なんて会話してると急に視界にメルロさん達が入る。
「うるさくしてすみません。つい盛り上がっちゃって…」
「凄いカッコよかったよ!ミカゲも凄いね~」
彼らに起こしてもらって会話する。
まだ心臓がばくばくいってて興奮が収まらない。
「ミカゲってアオメより年下なの?」
「いえ、僕とお姉ちゃんは同い年です。期が違うんですよ~」
そういうミカはまたバイオリンを構えたと思ったら、違う曲を弾き始める。
「何その目、誘ってんの?」
「挑発してんの、僕のほうがうまいって」
なんで軽口を叩くもんだから、私も同じ曲を転調して弾く。
そんなことを軽く1時間ほど続けていた。