第9章 新しい仲間
「まずは1Fね。あるのは…大きいホール。沢山の部屋かな」
「1Fざっくりしすぎじゃんっ!」
歩きながら説明するが、入り口の扉を開けると目の前に大きなホール。
そして、そのホールの左右に続く廊下の壁にいくつものも扉があるだけだ。
「1Fは私たちも点検の時しか来ないわ。というか、2Fも同じ作り。ほとんど生活スペースは決まってるから、私たちが使うのは極一部だし」
そんな感じで2Fも通り過ぎて3Fに着く。
「ここは庭師の人とかの自室、ホールがあるわ。人通りはまぁまぁあるよ」
ミカはそれだけという顔をしているが、そう。これだけだ。
「4Fはもっと大事だよ。私たちの部屋、食堂、マスターの部屋がある。あと武器庫もかな?」
階段を上がり、まずは右側の廊下を歩く。こちらは食堂となっており、シェロさんたちの声がよく聞こえる。
続いて、左側には私達の部屋がある事とマスターの部屋の行き方を教えた。
「5Fは1Fと2Fと同じ作り。あ、1Fの右側廊下の突き当たりから離れに行けるよ。離れでは体動かせるから。
……こんなもんかな」
「ふーん、大きいだけでつまんない屋敷だね」
そんなミカを放っておいて私はステラさんを呼びにいくと、もう部屋に戻っていた。
「これがミカゲの服な。部屋はアオメの隣の部屋だから」
それらを受け取ったミカは部屋に戻り、役目は終わったので私も部屋へ戻った。
案外疲れも取れていて、ベッドに寝転がるが眠れる気がしない。
久しぶりにバイオリン弾こうかな…
なんて思って、前みたいに弾いていたらどこからかトントンと音がした。
恐らくミカが叩いているのだろう。
うるさかったかな、と思いながら弾くのをやめる。
それから30秒後、ノックもなしに扉が勢いよく開いた。
「お姉ちゃんっ!なんでやめちゃうの!聞きたいのに~」
やっていたのは燕尾服を中途半端に来ているミカだった。
「ちょっとノックしてよっ!あとで弾いてあげるから…」
燕尾服をしっかり着せてから、バイオリンをもう1つ取り出す。
「向こうのホールで弾こう。昔みたいに」
そう言うとミカは微笑みながら、そのバイオリンを受け取ってくれた。