第8章 忍び寄る恐怖と出会い
「この後の行動で生死を決めるというのは大げさですが、無傷で帰れるかどうか…くらいです。
ご機嫌取りしてももっと機嫌悪くさせそうだし…」
深いため息をついて、石の壁に背中を預けて相変わらず眉を下げている。
結構やばいんですね…
という言葉は飲み込んで、1つの希望にすがることにした。
アオメside
コルトさんと話すこと数分。
私は今後のことを考えていた。
しかし、どう考えても悪い未来しか分からず私達が無事にルータスに帰れる気がしない。
「あのアオメさんがステラさんにもらったネックレス見せてもらっていいですか?」
いきなりそう言われて、驚いたものの首から外して彼に渡す。
それに耳をすませたり、ずっと握ってみたりしていた。
「やっぱり…この中には機械が仕込まれています。それが音を聞くものか、この場所を知らせるものかは分かりません。
でも、ステラさんならきっと最悪の事態を想定しているはずなので後者の可能性が高い。
昨日からおかしな場所に留まってることを知ればきっとこちらに向かうはず。
私達は日程合わせで時間をかけて来ましたが、最速では1日未満。
助けに来るとしたら今日の午後ですかね」
私もネックレスに耳をすますと、確かに小さな小さな機械音が聞こえた。
「見事な推理ですね、コルトさん。なんとか助かりそうだぁ〜」
悩み事がほぼ解決して、安堵していたら何故かミカの顔が浮かんだ。
「ミカ、殺されちゃうのかな…」
壁の方を見ていた私だが、横でコルトさんがパッとこちらを見たのに気づいて私は首をかしげる。
「どうされました…?」
「え、や、敵の心配をするなんて不思議だな、と思って」
あれ。私、口にしてたんだ。
敵か…ミカは今は敵だけど大事な人に変わりはないからなぁ。
「ミカはうまく言えないのですが、私なんです。彼は私について私が知らないことを知っていて、昔から支えてくれました。
人を欺く時にしてしまう癖とか…ね」
それは私を昔から見ている人でなくては無理なことだろう。