第8章 忍び寄る恐怖と出会い
「…ふ〜ん。こんな弱そうなのによくお姉ちゃんに認めてもらえたね?」
私から一度離れたミカゲは次にコルトさんの顔を近くで見ていた。
「ま、いいや。君はここで待っててね」
そう言うと彼は私の枷を手早く外していった。
「さ、僕の部屋行こう?…あ、ちなみに逃げ出そうとしたらこいつの命はないからね?」
枷の鍵を手で弄びながら、ニコニコ笑顔で私の手をとって歩き始めた。
石壁の部屋の扉を出るとすぐに階段があり、そこを1番上まで登るとまた扉があった。
どうやら今のところは地下室の様だ。
地上は普通の内装でどこにでもありそうな感じ。
長い廊下の突き当たりを右に曲がるとリビングと思われる部屋があった。
「やっとお姉ちゃんに会えた…。依頼、受けながら少しずつ探したんだよ〜。
あ、ハーブティーしかないや。いい?」
私をソファに座らせると、キッチンに彼は消えていった。
燕尾服の裾を翻したミカゲはすっかり大人になっていた。
ハネの少ないサラサラだった髪は変わってないけど、目つきや体つきはすっかり変わった。