第8章 忍び寄る恐怖と出会い
「あれ、コルトは…?」
そう聞いてきた彼に私は起こったことすべてを話した。
「ルータスのみんなには伝えといてください。すぐ帰りますから」
私はそう言って教会を出て行った。
家に向かう途中、アリスさんとすれ違う。
「マスターを外に連れ出して正解だったね、ドタドタうるさかったよ」
「ありがとう、アリスさん。マトリさをに状況は聞いて」
すれ違う瞬間にそう言って、何事もなかったように歩みを進めた。
裏口の戸付近で執事が待ち構えていた。
なぜか燕尾服に血をつけている。
まさか、という展開を疑ったが次の発言でそれはないことを確信した。
「お帰りなさい、と言いたいところだけど行くよ。ほら、おいで」
そう言うと、手を縛られたコルトさんが出てきた。
私の手も縄で縛ると、家の前に止まっていた馬車に私たちを乗り込ませた。
「とりあえずお家に着くまでは眠ってて。殺しはしないから」
素早い動作で私たちの口元に布を押し付けると、私はそのまま気を失った。