第8章 忍び寄る恐怖と出会い
なんとかカトリスさんを出口の方へと逃がすまでの時間稼ぎをすることができた。
すると、彼は続けていた攻撃をやめて、いきなり走りだした。
その背中を追いかけ、彼の姿をようやく視界に入れた時、コルトさんらは銃を向けられていた。
「一匹、増えてるんだけど…ま、いっか。カトリスお嬢様をさらう理由は?」
「…隣国に彼女を待っている人がいる。
だから彼女をこちらに渡してくれ」
「…うん、いいよ!!」
…い、いいんかーいっ!!
予想だにしない答えに思わず口が開いた。
驚いてる間に彼はカトリスさんをこちらに渡してきた。
「そのかわり!カトリスお嬢様を運び次第、君はここに戻ってきて?
彼はお仲間か知らないけど人質としてここに残しておくよ」
ニッコリスマイルで、私とカトリスさんを裏口から放り出した。
きっと彼は私とコルトさんが仲間なのを知ってて、ああ言ったのだろう。
とりあえず私は教会に行き、マトリさんに彼女を渡さなければ。
足場の悪い雪道を歩き、小さな教会の中に入るとマトリさんが待っていた。