第8章 忍び寄る恐怖と出会い
次は私たちを先頭に再度歩きだす。
ーっ!!!!
私はあることに気づき、歩みを止めた。
先ほどは開いてなかったはずの扉がほんの少しだけ開いていた。
この状況が示すのは2つ。
この部屋に誰かが入ったか、誰かが出たか、だ。
私は用心しながら空いてる隙間から覗く。
質素な内装…そして燕尾服の執事。
彼の姿確認した途端、全身に鳥肌がたった。
”彼とは戦ってはいけない、逃げろ”
全身に警告音が響き渡り、それを察したのかコルトさんはもう走り出していた。
じわじわと取り巻くひどく気持ち悪い殺気。
私も後を追いかけて走ろうとしたが、手首を掴まれた。
い、いつの間に部屋を出て!?
そう思った時にはすでに彼の足が私の頭上近くまで上がっていたが、なんとか交わせた。
「今の避けれるんだ、なかやかやるね?」
「カトリスさん、出口に向かって走って!」
殺気とは裏腹に、やけに高く軽い声を出しながら彼は攻撃をやめない。
暗い紫色の目に宿る狂気はなんとも言えない恐怖を醸し出している。
どうやらクレナさんタイプのようだ。