第8章 忍び寄る恐怖と出会い
ーパカッ、パカッ
馬の蹄が軽い音を立てる馬車の中、私たちは最終確認をしていた。
ついに作戦実行の日になり、もうすぐて目的地である家に着く。
「マトリ、カトリスさんを受け取ったら急いで港へ向かってくださいね。
彼女には学校で手紙を渡して、読んだ後燃やしてもらったので彼女以外今日のことを知りませんから。
アリス、くれぐれも怪しまれない程度にね。何事も節度が大事だからね?」
「オーケー!コルト。健闘を祈るよ」
私は必死に脳内に家の中の構図を思い浮かべて、自分が歩くルート、行う行動をシュミレートした。
徐々に馬の足音がゆっくりになり止まった。
「じゃあね、みんな。グッバイ」
手をひらひらさせて華麗に馬車から降りたアリスさんは家へと歩んでいった。
黄色い壁に赤い屋根、窓が2つの小さく質素な家。
でも整えられた小さな庭がなんだかとても綺麗だ。
「さ、私たちも行きますか」
コルトさんの声で私たちも馬車を降りた。
玄関の裏側のドアの上方にある少し大きな窓の鍵を壊して私たちは中に入った。
私達の知っている通り、トイレの窓だった。