第8章 忍び寄る恐怖と出会い
「きて…起きて、さい。アオメさん」
肩を揺さぶられた振動で私は目を覚ました。
目の前には私の顔を覗くコルトさんがいた。
「あ、起きましたね。良かった〜。
1人で3人も運ぶ羽目になるかと…」
苦笑しながらコルトさんは馬車から降りる準備をしている。
外を見るともう日は暮れていて、小さめの宿に到着していた。
「あ、すみません。すぐ準備しますね」
私は慌てて起きて、荷物とコルトさんを背負って宿へと向かった。
宿に着いた時には既に夜の21時だった。
ずっと揺さぶられていたからか結構体に疲れが溜まっているようだった。
コルトさんの部屋に彼を下ろした後、私は自分の部屋に入った。
こじんまりとした部屋だが割と綺麗だし、設備は整っている様だ。
早速お風呂に入った私はベッドに座り、
ボーッとする。
久しぶりの静かさに何とも言えない気分になった。
いやいやいや、寂しいとか思ってないし。前はこれが当たり前だったし…。
騒いでくれるクレナさんとステラさん、それを止めるメルロさんがいないだけで、こんなに静かなのか。
まぁ、白状してしまえば寂しい。
ベッドにドサっと寝転がり天井を仰ぐ。
いつの間にあんな楽しい日が当たり前になっていたのだろう。
「私って…幸せものだな〜」
何て言いながら私はそのまま目を閉じた。