第3章 怪しい依頼にはご用心⁉︎
「とても美味しいです、ほのかな苦味は隠し味ですか?」
私がそう聞くとメルロさんはクスリと笑って、満足そうに拍手した。
「やはり気づいておられましたか…。
お見事ですね、致死量の毒を盛って居りましたが耐性があるのですね?」
メルロさんはどうやら私を見定めていたようだ。
彼が言った通り、私には毒の耐性がある。だからこのくらいの量はどうってことない。
それからも私は毒入りの朝食を頂き、最後に水を飲むことした。
透明で無臭、外見は明らかに水だ。
「どうされました?グイッといってください?」
にこやかに微笑んだ彼はとても嬉しそうだ。これにもきっと毒が入っているのだろう。
私は見せつけるようにそれを一気飲みして見せた。
こ、これは……まさか………
「ただの水じゃんかよぉぉぉぉ泣」
構えた私が馬鹿だった。
メルロさんも燕尾服の男も爆笑している。
「アオメさん、ナイスリアクションです!
私は気に入りましたよ、合格ですね」
メルロさんはそう言うと、男は私に次の部屋に行くよう指示してきた。
とんだ赤っ恥をかいた私は廊下を歩いている途中、何度も後ろを見る。
未だに燕尾服の男が爆笑しているのだ。