第8章 忍び寄る恐怖と出会い
「それはひどいんじゃない、せっかく教えてあげたのに…」
余裕そうに服の裾を翻しながら馬車から飛び降りてきたので、すかさず間合いを取る。
「コルトさん、出てこないでっ!」
その際に馬車からこちらを覗く彼が見えたので、私はそう言う。
「そのフード取ってくれなきゃ顔が見えないなぁ、声的には女の子だよね?」
「そっちこそ仮面かぶってるでしょ、お互い様よ!」
なんて会話をしながら私達は接近戦になった。
激しい攻防戦を繰り広げながら、何か1つでも相手の情報を掴もうとする。
残念ながら顔は見えないが、こいつは相当強いみたいだ。
一瞬でも隙を作れば殺られる。
「君結構やるね?でも僕、時間がないんだ」
なにか決め技でも出してくると思って私は構えたが、高く飛んだ彼はそのままどっか行ってしまった。
「あっ…そっちか…」
なんだか拍子抜けしてしまい、変なため息をしながら私は馬車に向かった。