第8章 忍び寄る恐怖と出会い
一瞬、鋭い刃が身に降りかかる、そんな気配がして私は目を開く。
周りを確認するが別に変わったところはなく、相変わらずのどかなところを馬車は走っていた。
明らかな殺意からなる殺気…狙われたのか。
寝ようと思ってたが万一のことがあるので目を瞑っているだけにしたらこの有様だ。
やはり寝るのはやめにした方が良い。
「ーんっん~、おはよう、ございます…」
そんなことを考えていたらコルトさんが起きた。
どうやら殺気には気づいていないらしい。
「おはようございます、お腹空いてません、う、わっ!!」
カバンからご飯を取り出して、コルトさんに渡そうとしたが急に馬車が大きく揺れた。
またこの殺意がー。
そう思った時、2発の銃発音が聞こえた。
甲高い悲鳴のような馬の声と従者の呻く声が聞こえ、馬車は道から外れたまましばらく動く。
やっと止まった時には馬車の中では色々と大変なことになっていた。
すぐに銃を持って外に飛び出すがやはり見当たらない。
「こっちだよ〜、上を見て!」
声のした方、すなわち上を見れば馬車の上に声の主が立っている。
間髪入れずに撃ったが避けられてしまった。