第8章 忍び寄る恐怖と出会い
「それでは行って参りますっ!」
荷物と共に馬車に乗り込んだ私は窓からみんなに手を振る。
今日から任務遂行の旅に隣国へ向けて出発だった。
「あぁ、気をつけてな。一応のお守り」
そう言ってステラさんが窓に向かって投げたのは十字架のペンダントだった。
私がお礼を言うと、すぐに馬車は走り出した。
風景が後ろに過ぎていく中、私はお昼を食べていた。
出発してかれこれ一時間は経つ。
「ふわぁぁ、僕は眠いから少し寝るよ」
一足先に食事を食べ終わったアリスさんは大きなあくびをして目をつむった。
向かいに座っている2人も出発したそうそうに眠り始めたので、これで起きてるのは私だけだ。
ここ、緑が綺麗だなぁ…あれは牛?
窓から見える景色は見たこと無い。
いつも暗い路地裏で過ごしてきた私に表の世界はいささか眩しすぎる。
なんだか酔いそう…私も眠るとするか。