第2章 月饗祭
「、このサツマイモだとどうだ?」
「んー、甘すぎるかな。これだと豚が負けちゃう・・・」
試行錯誤は夜遅くまで続いた。
「今日はこの辺にしておこうか。明日もよろしくね。」
「ああ。・・・いや、遅いし、送ってく、、」
もう外は真っ暗だし、他の生徒の姿も見えなかった。
それに、目の前にいる彼女は遠月の一席ということの目が行きがちだが、美人なのである。
を一人で返すことは四宮にはできなかった。
「じゃあお言葉に甘えて、、ちょっとへんぴなとこにあるけど大丈夫?」
「寮だよな・・・?どこのだ?」
「極星寮。なんか学園の運営じゃないから知らない人も多いんだけど、、」
「大丈夫なのか?そこ。」
「あ、なんか誤解を招く言い方しちゃったかな。すごくいいところよ。変わった人も多いけどすごく楽しいの。ちょこちょこ十傑も排出してるみたいでね、堂島さんも極星寮の出身らしくて、そのころはすごかったんだって!」
「へぇ、、まあ、とにかく行くぞ。早く帰らないと心配されるだろ。」
「そうだね。行こっか。」
2人で極星寮までの帰路についく。
辺りは真っ暗で静かだった。
あれ、料理のことばっかりであんまり意識してなかったけど、これってすごいチャンスだよな、、
だれもが憧れる1席と二人で学園祭の準備って・・・
「四宮君はどうして料理人を?」
「俺は、その、、そういうお前はどうなんだよ?」
「私はね、小さい頃に、大好きな人が私の料理をおいしいって言ってくれたのが嬉しくてね。私の料理で人が笑顔にいなるのを見て、それからずっと料理人になりたいって思って、、、」
「・・・俺も似たようなもんだ。」
そういって母との思い出を語る。
なんていうか、すごく普通の人なんだと思った。
それでも料理について考えているときは、遠月の頂点としてその力をいかんなく発揮する。
最初は一目ぼれだったが、その人柄に触れてみて、本当にこの人を好きになっている自分に気付いた。
「あー、大好きな人って、、」
「お兄ちゃん!私お兄ちゃん子だから。」
その答えに思ったより安堵した自分に驚いた。
兄貴か、よかった。
「あ、ほらあれ!極星寮!」