第1章 それは一目惚れ
「それじゃあ一年生の皆さん、初めまして。本日紅葉狩り会を主催した高等部2年、です。じゃあ上級生から自己紹介していきましょうか!」
遠月の十傑がそれぞれ自己紹介を始めていく。
空気は正直微妙で、彼女、がなんとか取り持っている、といった感じであった。
「・・・四宮小次郎ッス。よろしくお願いします」
当たり障りなく挨拶を済ませ、そのまま何事もなく紅葉狩り会は締められようとしていた。
「じゃあ、今日はこの辺でお開きってことで!お互い切磋琢磨して頑張りましょうね!」
「よく言うよ。君と切磋琢磨できる奴なんてそうそういないだろ?」
「関守くん!やめてよ!お寿司だったらかないません!!」
「それ以外なら勝てるってことだろう。かわいくないな。は。まあ、1年も十傑入れるよう頑張りな。そんな甘くないだろうけどな。」
2年第4席の関守の言葉で場は締められた。どうやら彼はこういった場を仕切るのがうまいらしい。
紅葉狩り会が終わる。
始めてまともに顔を合わせるチャンスができた。
しかし彼女は俺を紅葉狩り会に誘われた一生徒としか見ていないだろう。
どうやったら印象に残るか、答えは一つだった。
「さん、俺と食戟しませんか?」
俺の言葉で場は静まり返った。
一年生は何を言っているんだという顔で。
上級生の視線が突き刺さる。
「・・・もちろん第1席の座をかけて」
「四宮、あんたそれに見合う対価なんてないでしょ。やめときな。」
同級生の水原のまともな意見に思案していると、、
「いいよ。その食戟、受けるわ。」
「え!?ホントですか!?」
「ちょうど学園祭の手伝いがほしかったのよ。まあ、スタジエで落ちなければの話だけど、いつにする?お題は?決めていいわよ。」
「おい、本気か?そんなの対価になってないだろう。」
「いいのよ。負けないし。」
「!!」
その一言は俺に火をつけるには十分だった。
「じゃあ1週間後に、、お題は、ヴィヤンド!」
「フレンチの肉料理ね。いいわ。手続きは私がしておくから、またそのときにね。」