第3章 仮面の裏◻︎
目がパンダみたいに真っ黒の厚化粧して香水がキツい、いかにもな女に捕まってしまった。
ウリではなさそうだな。
きっと安い店なんだろう。客の誘導のためにこんな気持ち悪い誘いなんかして…一般人なら乗るんだろうけど俺は乗りたくない。
俺から誘う女しか抱きたくない。
「ごめん、あした早いから。また今度誘ってよ?ね?」
「えー…寂しぃ。でも仕方なぃよねぇ…また会ったら誘ぅね!!」
「うん、じゃあ」
だいたいこう言って頰にでも唇を落としたら大人しくしてくれる。
扱いやすい女だな。
ホテル街の手前にある綺麗で他とは違って少し高級感のあるビルの前に立つ。
“OWL” 俺の属する梟谷組の1番高級なソープランド。
1階はフロントで2階〜3階はキャバクラ、4階はオフィス、5階〜6階がソープランド、7階が高級ソープ。
エレベーターに乗り7階まで上っていく。
「あっ!京治さん!お疲れ様っす!!」
「ご苦労様。新人入ったんだって?」
「はい!若くてスタイルいいし可愛いし、いい新人入りましたよ!」
そう言われてその新人らしき人の写真が差し出された。
「え……」
「あれっ?好みじゃなかったすか??」
この顔……
どっかで見たことある。
いや、ただ似てるだけかもしれないし、今までヤってきた女の誰かかもしれないし…
「名前は?」
「サヤカちゃんっす!」
「それって本名?」
「…原子名っすよ。今言ったことはどうか御内密にっすよ?」
「うん、ありがとう。そのコでお願い」
「了解っす!」
黒服に案内されて1番奥にあるこの階でかなり高価な部屋についた。
さっきまで男の顔をしてたけど念のため無表情に変える。
ドアを開けると俺の予想通り、見たことのある人がベビードールでお出迎えしてきた。