第3章 仮面の裏◻︎
“普通の生活がしたかった”
そんなことを思うようになったのはいつ頃の話だったか
でもそんなこと出来るはずがない。
生まれた時から血の繋がってる家族以外はみんな俺に膝をついて俺の身分を思い知らされてきた。
ホンモノの銃や刃物、厳つい爺に親父、俺の遊び相手は大きい兄ちゃんや着飾りすぎのお姉さん達。
俺がこんな家庭で育っているから当然学校ではトモダチが出来ないと思っていた。
けれど、少し賢くて落ち着いているコ、と保護者たちからは好評でその流れでトモダチは沢山できた。
でもトモダチとの関係も浅く広く。
小学校に行くまでは俺と同じ年で普通のコなんて居なかったからトモダチと喋るのが楽しかった。
中学ではバレー部に入って急激に背が伸びて、学年で1番モテていたらしい。
その頃から俺の心は汚くなっていた。
組のお姉さんにハジメテを奪われて心は荒れていたものの、体は快感を求めていた。
体は正直だ。
いくら体を重ねても満たされるのは欲だけで
心は空っぽだった
仕方ない。俺はこういう奴なんだ。
この家庭に生まれてしまったのは仕方ない。いや、俺がこの家庭に生まれてよかったのかもしれない
小さい頃から冷静に物事を考える事ができて、自分の意志を殺す事ができる。
組にとったら丁度いい人間だ