第12章 アルミン 君の夢と僕の夢
アルミン「え…?」
突然人に話しかけられ、顔を上げる
すると目の前には数冊の本を抱えながら僕の本と僕を交互に見る少女がいた
勿論ここは立ち入り禁止じゃないから誰が来ようと不思議はないが…滅多に人が来ないここに、それも少女が本を抱えてくるなんて誰が想像しただろうか?
因みに僕は想像できなかった側の人間だ
「あ、ごめんなさい突然話しかけて…この間見つけた本が見当たらなかったから…」
モジモジと話す目の前の少女に胸の辺りが熱くなったが、それ以上にこの本について知っている人がいた事について驚きを隠せなかった
アルミン「君もこの本興味あるの?」
「外についての本でしょ?…私、外を冒険してみたいんだぁ」
子供みたいな夢でしょう?そう言って笑う彼女
同じ夢を持っている人がいたという事実は何度瞬きをしても変わらない
アルミン「ぼっ僕もそうなんだ!いつか壁の外を探険して…っ!本に書いてある景色を探すのが夢なんだ!」
ついつい興奮して立ち上がるとくりくりした眼を大きく見開いて僕の事を見上げた
ちょっと可愛いかも、なんて思ってしまう僕は曲がりなりにも男のようだ
アルミン「ご、ごめん…初めて同じ夢の人と会ったからその、嬉しくて…」
「私も初めて会った。両親でさえも馬鹿にする夢だったから誰にも言えなかったの……えと、君は…」
アルミン「あぁ、自己紹介がまだだったよね!僕はアルミン・アルレルト。君は?」
自己紹介をすると、少し照れ臭そうにはにかみながら名前を教えてくれた
シャロン「私はシャロン・ファルム。よろしくね」
アルミン「よろしく…そうそう、この本のここなんだけどさ」
僕が今まで話せなかった外への希望と夢をこれでもか、という程話すとシャロンは嬉しそうに聞いてくれた
シャロンも楽しそうに目をキラキラと輝かせながら、夜空の虹について話してくれた
シャロンは夜空の虹と、海が見たいらしい
僕達は自由時間のほとんどを外についての話で語りつくした
シャロン「久しぶりに私の話を聞いてくれる人に出会えた!今日はありがと」
アルミン「それは僕の方だよ…また話してもいい?」
「えぇ、もちろん!!」
その笑顔で恋に落ちたのに気付くのは少し後のお話