第13章 リヴァイ その日まで
ザクッと深く刃が布地をえぐる音が響く
トンッと立体起動を使い地面に降り立つと、私の訓練を見ていたのであろう男性が話しかけてきた
「相変わらずの腕だな、シャロン」
「兵士長に言われるなんて光栄だね、リヴァイ」
「思ってもねぇ事をスラスラ言うのも相変わらずだ」
リヴァイと私は、地下街のときからの仲間だ
他にも二人いたのだが、私達の初めてとなる壁外遠征で尊い犠牲となってしまった
あれからどのくらいの月日が流れたのだろう?
私達は、あれから出世した
私はハンジ班に配属され、リヴァイは先程も言ったように兵士長になった
「そろそろ、新入りが入ってくる季節じゃない?貴方の班にはだれか入れる予定があるの?」
「それは生き残ってからの話だ、新兵は半分死ぬじゃねぇか」
「貴方っていつもそう、本当は苦しいのに汚い言葉でごまかす…私が死んでもそんな風に言われるのかしら?」
少しいじわるな質問をすれば、リヴァイの眉間にはいつも以上にしわが寄った
「冗談でも死ぬなんて言うんじゃねェ。俺達にはまだやる事があるだろう?」
「…そうね、それまでに死んだらイザベル達に合わせる顔がないわ」
私達の約束、それはあの場所で亡くなったイザベル達の場所に墓を建てること
そして、今までに失った団員の墓を建てること
そして…二人で世界中を巡ること
「そうだ、わかったらそんな口きくんじゃねぇ」
「そんなに怒らなくてもいいじゃない、私もあなたもすぐに死ぬ人材でないのは確かよ?」
「死ぬまでそれはわからねぇだろ。死んでから生き残った奴が勝手に言うだけだ」
私達は知っている、目の前で仲間が死ぬ絶望を
そして生き残った者たちで悲しむ寂しさを
だからこそ、仲間にその絶望を体感させないために存在している
「だからこそ、私達は約束を果たすその日まで死なない…でしょ?」
「…分かってるならいい。次の壁外遠征、死ぬなよ」
「そっちこそ、死んだら墓建てるわよ」
お互いに次の壁外遠征の日にちが近い事を知っていたからか、私達なりの激励を送る
そのまま私は再び訓練に戻る
自分が死なない為に、大好きな仲間を……彼を悲しませない為に