第3章 ジャン 最初で最期の告白
私を見てニタァと笑う巨人はとても不気味だった
逃げなきゃ
あたりに仲間の残骸があるが、そんなのに一々気を取られていられない
この地獄で……残酷な世界で……生き残るにはこれしかない……
圧倒的な力の前に逃げるしかなかった
頭から血を流しながら急いでアンカーを飛ばし、逃げる
後衛と合流して他の班に合流させてもらわなくては
そう思ってとんだ直後だった
ブチッ
シャロン「あ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁぁあああ!!!」
私の左足は消えていた
代わりに赤い鮮血が流れるばかり
巨人がもう一体いた
喰われる…そう思ったときだった
巨人が倒れた
巨人の後ろからなつかしい彼奴がいた
ジャン「シャロン!!」
決死の覚悟で倒したんだろう、冷や汗が止まっていない
相変わらず…弱虫だな
シャロン「ジャン……ありがと…」
ジャン「おい!後衛で手当てしてもらおう!!だから…!だから…!!」
おい、泣くなんてらしくないじゃないか
私は馬鹿みたいに笑ってるお前が好きだったんだよ
もう助からないことくらいわかってる
最期に…この想いだけは伝えたい
シャロン「あの、ね……私……調査兵団に入りたいんだ……」
ジャン「もう喋んなよ!!状況わかってんのかよ!!」
こんなことを言いたいんじゃない
シャロン「ジャン…」
ジャン「喋んな!!」
涙で顔がぐちゃぐちゃじゃないか…
シャロン「あの…ね……」
最期に…
最期に言わせて……?
「大好き…だった、よ………」
ジャン「シャロン俺もだよ!!俺もだから…!!頼むから…!!!」
あぁ…なんて綺麗な世界なんだろう
愛しい彼の腕の中で
愛しい彼の声を聞きながら
私の灯火は静かに消えた
「なぁシャロン…マルコまでいなくなっちまったよ……」
「なぁシャロン…お前が聞いたら笑うかな……」
「俺、調査兵団に入ったんだぜ…?」
そう少年がつぶやくと、静かにひとつの墓の前に咲いた花が嬉しそうに揺れた