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俺らのマネは地味子さん。

第9章 SIX





「その日、仕事入れてや」

横ちょの声が響く。
ジッと白元ちゃんから見る横ちょ。

横ちょの気持ちを考えると返事を返せんへん。
唯一、返したんは一身に視線を受けてた白元ちゃんだけ。

「嫌です」

「何でや。
俺が仕事するってゆーてんやで!」

横ちょにしては珍しく帯を荒あげてる。
それでも、一歩も引かない白元ちゃん。

「ご実家へ行って下さい」

白元ちゃん知っててこの日にしたんか。
まぁ、知らんわけないやろーな。

その日は横ちょのオカンの命日。
あれから1年経った。

「新幹線のチケットは手配済みです」

「・・行かん」

頑なな横ちょ。
視線を下げ、俯いてた。

沈黙が部屋を包む中、手を挙げたのは信ちゃん。

「白元、俺のも手配して〜」

信ちゃんの言葉に「俺も俺も」とみんなの声が続く。
勿論、俺も行く!

「山田さんの指示で7人分手配済みですよ」

ほんま?!
山田を見ると照れ臭そうに笑っていた。
なかなかやるじゃん!


「横山さん、行って来てください」

そう言って頑なな横ちょに優しく笑い掛ける山田。
だが、横ちょは何も答えなかった。

母親を亡くした事はない。
そんな俺らに横ちょのほんまの気持ちは、わからん。

けどな、逃げんどって欲しい。
そう、思うんや。




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