第8章 FIVE
「帰る」
秒コンマで弾き出す悲惨な末路。
絶対、すばるの飯なんか食べたら明日仕事に支障がくる。
間違い無い!!
「あかん!食えっ!!」
出入り口を塞ぐように両手を広げ身体を低く構えるすばる。
俺は遊んでる暇ないねん!
「んなもん、マルにでも食わせろッ!」
お腹を抱え、床を叩くマルを指差す。
悲鳴に近い笑い声を上げていたマルをチラ見したすばるは高らかに宣言した。
「ヨコにもマルにも食わせるでッ!!」
「・・大倉!お前いくら腹減ってても、すばるの飯はあかんで!」
少しでも味方に付けようと試みるが、大倉はアッサリ言い放った。
「俺、カレー食うねん」
カレー?
聞けば、来る前に連絡したら食べたい物の材料を買ってくれば白元さんが作ってくれると言ったらしい。
だからか!
だから、1人余裕に爆笑出来てたんか!
「アホか、大倉。
お前にも食べさせるに決まってんやろ?」
その瞬間、高笑いしていた大倉の笑みが凍った。
「無理無理無理!!」
「無理とか嫌はないねん!
この家に入ったが最後、食べてもらうで〜!!」
誰だよ!
こいつが落ち込んでるってゆーたの!
めっちゃ元気やん!!
悪魔と化したすばる。
そこへ、いつもの冷静な白元さんがキッチンから出て来た。
控えめなフリルが付いた白いエプロン姿。
こーゆうのが好きなのか?
キッチリとしたスーツ姿から容易に想像出来ないエプロン姿に俺は固まってしまった。
意外性大や!
「すばるさん、お料理運んでもらえますか?」
「アイアイサー!
あ、ヨコめっちゃ腹減ってるんやて!
大盛りで頼むな!!」
ニヤリと笑みを浮かべたすばるに言いたい事が沢山ある。
でも、何から突っ込んだらええのか・・
まず、いつから白元さんはすばるを下の名前で呼ぶ様になったんや?!
ついでに、マルもいつから下の名前で呼んでるん?!
聞く暇ないやん!