第8章 FIVE
ー安田sideー
信ちゃんとヨコちょの話しを聞いて、悔しかった。
出来るなら俺が気付いて、知りたかった白元ちゃんの気持ち。
知りたきゃ聞けばいい。
仲良くなりたかったら、自ら動けばいい。
たったそれだけの事なのに俺は、しなかった。
多分、メンバーの中で俺だけ先に気付いてたんや。
白元ちゃんは、これ以上動けないって気付いてたのに、な。
ほんま、情けない。
そんな気持ちでいっぱいだった。
「・・言葉も行動も感情も全てリアルでした」
亮が演じた役の感想。
言葉の端々に違和感を感じた。
全てリアルでした・・?
何かまるで体験した事みたいなニアンス。
リアルに感じた とか リアルだと思った とか第三者的感想じゃない。
リアルでした って・・
何より最初に言ってた、『泣きました』
怖かった じゃなくて、泣いたっう事。
もしかして・・・
まさかと思い尋ねた俺の言葉を白元ちゃんは、否定しなかった。
昔の事だと言ったんや。
亮は、気付いてへん。
気付かん方がええ。
せっかく、近付こうとしてるのに知ったら亮はまた距離を取るだろう。
演技だとわかっていても、その演技で泣いた白元ちゃんの気持ちを守ろうとするはずや。
亮は、そーゆうヤツや。
俺だけでええねん。
俺だけが知っていたらええんや。