第7章 FOUR
ー山田sideー
「彼らはアイドルです。
汚れてはいけない」
あぁ、俺ってバカだ。
バカってほとんどのメンバーに言われてたけど、本当にバカだ。
「だからですか?
だから、汚れ役になるためにみんなと距離を取ってるんですか?」
「山田さん・・
私はマネージャーですが、女です。
それを忘れてはいけません」
「ーーっっ!!」
本当に、俺はバカだ。
白元さんの悲しそうな表情。
そんな表情をしてるって気付いてるのかな?
踏み込みたいのに踏み込めない。
そう言っているかの様な表情をしてるんですよ、貴女は・・
言葉に迷った。
伝えたい事があるのに伝えられない。
どんな言葉を言ったとしても、俺では白元さんの気持ちを変えれない。
そう思ったんだ。
「山田さん、私の履歴書はありましたか?」
「えっ!あっ、いや、その・・
知ってたんですか?」
まさか、バレてるなんて・・
「ええ、でもわからないと思いますよ」
確かに、いくら探しても分からなかった。
同姓同名の履歴書は見つけたが、どう見てもこの白元さんとは全く違う。
「すみません・・」
「聞かれたら答えます。
ですが、聞かれない事には私は答えません」
「はい、すみません」
もう、謝るしか方法は無い。
あぁ、最悪だ・・。
「さて、もうすぐ撮影です。
ここ、頼んでいいですか?
今は私がいない方がいいと思うので」
「はい、お任せ下さい!」
もう、償うためには何でもします!!
「クスクス、では私は強敵プロデューサーに媚でも売って来ますね」
あぁ、あの人か・・
あの人が頷かないとあの話は、無理なんだよな・・
「大丈夫ですか?」
「クスクス、ええ、マネージャーですから」
そう言って白元さんは、小さな紙パックを掲げニッコリと笑った。
あのプロデューサー、手癖悪いんだよな・・
本当、大丈夫かな?
いくら汚れ役を引き受けると言っても、させたくない。
白元さんにさせたくないと思ったんだ。