第7章 FOUR
渋谷さんに話すかどうか悩んだ。
事務所の方針に従うのなら話すべきではない。
だけど、楽屋に入った途端感じるこの空気。
悩んでいた迷いが消えた。
事務所の予想通り、落ち込む渋谷さん。
反発する錦戸さん。
困惑するメンバー。
読んでいた通りの現状。
私は、メンバーに伝える事によって彼らを縛る事になったとしても話すべきだと判断した。
「白元さん!」
楽屋を出た私を追い掛けて来た山田さん。
「な、何で、話したんですか!」
上気した表情。
「・・私は小嶋さんの考えに賛成出来ません」
「!!」
「私がマネージャーとして未熟だとは認識しています。
徹底的に出来ない私の考えが甘い事もわかっています」
そう、考えて悩んで出した結論。
「私にとって、彼らは商品ではありません。
もし、私が彼らをジャニーズ事務所の商品だと思っているのなら商品が起こしたトラブルは管理するマネージャーだけの責任です。
ですが、私は彼らを商品だとは思えない」
「だから言ったんですか?」
「・・初めに彼らには伝えています。
バレずにやりなさい、それが出来ないならアイドルは辞めるべきだと・・
その考えは変わりません。
だから、伝えました。
知らなきゃいけないんです、彼らは。
自分達がどれだけ守られているか知らなきゃいけないんです」
「俺も・・彼らを商品だと思った事は1度もありません」
「彼らは幸せです。
でも、その幸せの上で胡座をかいだままではダメです。
知らせて彼らを縛る事になったとしても彼らなら大丈夫だと思っています」
「・・俺は、マネージャーだけど関ジャニ∞の一員だと思っています!
俺だけじゃない、白元さんもです!」
あぁ・・
この人は、なんて素直な人なんだろう・・
「山田さん・・ありがとう。
でも、汚れ役は私だけで充分ですよ」
ドジ踏んでもメンバーに愛される理由がよくわかる。
「俺も一緒に汚れます。
メンバーだって関ジャニを守るためなら何だってしますよ」
知ってる。
まだ、短い間だけど充分感じている。
けど・・