第7章 FOUR
ー白元sideー
数日前。
事務所の会議室へ呼び出された、私と山田さん。
そこで小嶋さんから見せられた1枚の紙。
某週刊誌のゲラ刷り。
写真付きで大きく取り上げられていた。
「これは黙殺する事になった。
渋谷を含めてメンバーにも知らせない」
世の中に出回らない。
ホッとすると同時に知らせないとの言葉に私は、眉をひそめる。
なるほど・・
これがこの事務所のやり方か。
伝えたい事を伝えた小嶋さんは、バタバタと部屋を出て行った。
「すみません」
静かな室内に微かに震える小さな声。
山田さんに目を向けると首を下げ、拳を握っていた。
その拳も微かに震えている。
「山田さんのせいではないわ」
「でもっっ!!」
「最近落ち着いてたから、私も目を離していた。
何より小嶋さんは私達に向けたのよ」
無言の重圧。
報告にしか過ぎない小嶋さんの言葉。
それだけなのに、言いたい事が充分伝わる程の威圧だった。
担当のスキャンダルは、そのマネージャーの責任。
小嶋さんはそういう考えの持ち主だ。
間違ってはいない。
いないけど、受け入れられない所もある。
なにより、四六時中見張るわけにもいかない。
芸能人だって、アイドルだって、プライベートがある。
その事は今、嫌でも実感している。
「錦戸さんもそろそろ限界なのよね」
そう言ってパラパラ手帳を捲る。
詰まったスケジュールは、事務所がプライベートで遊ぶ暇を無くすために詰め込めるだけ詰め込んだ。
同時に私のスケジュールもパンパン。
「ねぇ、山田さんにお願いがあるんだけど・・」
そう言って私は、考えていた案を山田さんに相談した。
おそらく、力技になるだろう。
24時間テレビが決まって広まりつつある今なら、何とか動かせると見越し、私は山田さんに協力を頼んだのだ。